Pixel Pedals of Tomakomai

北海道苫小牧市出身の初老の日常

Re: 層・圏・トポス P85の定理11

lim C(X,D-) が存在する時に lim D が存在するのか

層・圏・トポス P85の定理11

反例を考えてみました。

反例

以下のように置きます。

  • 圏C: HShiri(しりとりの圏)
  • 圏D: 「い」「う」とidだけからなるHShiriの部分圏
  • 関手D: DからCへの埋め込み
  • 圏Cの対象X: なんでもいいんで、とりあえず「あ」

この時、lim C(X,D-)は存在するが、lim Dは存在しません。

説明

C(X,D-)による圏Dの像は、対象はC(X,Dい)=C(あ,い)とC(X,Dう)=C(あ,う)の2つで、射はそれぞれのidだけとなります。このようなコーンのlimは、層・圏・トポス P65の 4) より直積ですが、集合圏なのでこれは C(あ,い)×C(あ,う) であり、存在します。念のために書き直しておくと、 lim C(X,D-) = C(あ,い)×C(あ,う) が成立するということです。

これは、Xを「あ」以外にしても成立します。つまり、任意のXについてlim C(X,D-)は存在します。

今度は、lim Dを考えます。関手Dによる像は部分圏Dですが、これも先ほどと同じ理由で lim をとると い×う となります。しかし、HShiriにおいて積は存在しません。念のために言い直すと、lim Dは存在しない、ということになります。