圏論勉強会ではない方の圏論勉強会 第5回です。資料とustreamは公開されています。
- 今日は倚子が追加された
- ワークスアプリケーションズ社さんに感謝しましよう
第5回: 様々な射 / 講師 @9_ties さん
- Hom集合についての補足
- 同型射
- g.f = 1, f.g = 1, 同型射がある対象同士は同型
- gは逆射 → 一意なのでf^-1と書く
- 証明 → gとhがfの逆射であれば、g = g.id = g.f.h = id.h = h
- 函手は可換図を保つ → 同型性も保つ
- fが同型射 → F(f)も同型射
- fが同型射 → F(f^-1) = F(f)^-1
- A ≃ B → F(A) ≃ F(B)
- C^opは同型性を保つ
- 反変函手も同型性を保つ
- Hom(X,-)は共変、Hom(-,X)は反変
- A ≃ B → Hom(X, A) ≃ Hom(X, B), Hom(A, X) ≃ Hom(B, X)
- Aの回りの射とBの周りの射が対応
- オブジェクトの性質は射に表われるので、重要
- gとhをHom(X, f)とHom(f^-1, Y)でf.gとh.f^-1に移しても可換図は保たれる
- AとBが同型であれば区別できない
- Aに関して成り立つことはBに関しても成り立つ
- 具体的でないとわからないことは圏論で調べるのに向かない
- 例: (R, +)と(R, ×)は同型
- 全然違うものだけど、区別できない
- 例えば、メモリ効率などは不明
- 一つの圏の中で全て表現しようと思うべきではない
- 圏論で述べられる範囲については気をつけたほうが良い
- 同値関係 → 二項関係が、反射律、対称律、推移律、を満す
- 同型は同値関係
- A≃A (恒等射)。A≃B ならば B≃A。A≃B,B≃CならばA≃C(合成)
- モノイドでの同型 → x・y = y・x = eのことなので、可逆元
- (R, ×)の同型射は0以外の全ての実数
- 同型"射"は関数とは限らない
- 半順序集合での同型 → x <= y, y <= x より x = y 、つまり自分自身のみ
- 証明の圏における同型 → 同値な命題
- fが単射 → f(x) = f(y) ならば x = y
- fが全射 → 任意のyについて、y = f(x)なるxがあること
- fが全単射 → 全射かつ単射
- Setsにおける全単射は同型射 → 証明はスライド参照
- 集合の要素の数が等しい → 全単射があること
- 証明(対角線論法): f:A→P(A)で全射のものがあったとする
- X = {x: f(x)にxが含まれない}とする
- 全射なので、f(x) = Xなるxがあるはずだが、xがXに含まれても含まれなくても矛盾
- 計算機科学で言えば、停止性を判断するプログラムが作れないこと、の証明となる
- プログラムは文字の集まりなので、自然数と同じ濃度
- できることとできないことがある、ということを意味する
- 例えば、計算機では求めることができない実数が存在する
- レトラクト → 同型を少し弱めたもの
- r.s = 1のみ成り立つとする
- sがセクション(断面、切断(幾何学分野より))
- rがレトラクション(撤回する、と言う)
- 直感的には、sで埋めこんだものをrで復元できる
- 函手はレトラクトを保つ
- Setsにおけるレトラクト
- s.rとはなんなのか
- 全ての元を、セクションによって選択された元に移す → 射影と見なせる
- 羃等な射になる
- rのセクションが存在 ⇔ 任意のfについてf = r.gとなるgが存在
- ⇒ g = s.f とするとr . (s . f) = f
- ← 自明
- プログラミングで言えば、射(プログラム)を分解できるか
- 位相空間と連続写像の圏
- S1(円)→D2(円盤)への埋め込みはレトラクションか
- 連続写像では取り出せない
- レトラクションは何かを含む、ことを言うには強すぎる条件
- fがレトラクションを持つ→rでfをキャンセルできる
- monomorphism(モノ射、モニック射)
- m.f=m.g ならば、f=gであること
- Setsのモノ射と単射は同値
- fとgを1からの射として具体例をイメージするとわかりやすい
- epimorphism(エピ射)
- f.e = g.e ならば f = gであること
- Setsでのエピ射は全射
- 同型射→モニックかつエピック
- fがレトラクションを持つ→fはモニック
- fがセクションを持つ→fはエピック
- モニックかつエピックでも、同型射とは限らない
- Monの圏で、f:(N,+)→(Z,+)を考えると、同型射ではない
- しかし、モニックかつエピック。g(-n)の移り先はg(n)で決まるため
- fは0以上の部分の断面をとっているが、断面だけで等しいと言えてしまう(テキストのEx. 2.5)
- Cのモノ射はC^opのエピ射。
- モノの性質を示せばエピの性質を示したことになる
- 来週以降は双対性をどんどん使う
- 羃等射 → e.e=eなるe
- (s. r).(s.r) = s.id.r = s.r (先程の証明)
- 分裂羃等射(split idempotent) → 羃等射がセクションとレトラクションに分解できる
- プログラミングで言うと、連続して実行しても1度だけ実行しても同じ
- 最適化や正規化に使える。冗長性(redundancy)を扱う文脈で使う
- 並列アルゴリズムで、共有メモリに同じ命令列が並んだり。