lim C(X,D-) が存在する時に lim D が存在するのか
反例を考えてみました。
反例
以下のように置きます。
- 圏C: HShiri(しりとりの圏)
- 圏D: 「い」「う」とidだけからなるHShiriの部分圏
- 関手D: DからCへの埋め込み
- 圏Cの対象X: なんでもいいんで、とりあえず「あ」
この時、lim C(X,D-)は存在するが、lim Dは存在しません。
説明
C(X,D-)による圏Dの像は、対象はC(X,Dい)=C(あ,い)とC(X,Dう)=C(あ,う)の2つで、射はそれぞれのidだけとなります。このようなコーンのlimは、層・圏・トポス P65の 4) より直積ですが、集合圏なのでこれは C(あ,い)×C(あ,う) であり、存在します。念のために書き直しておくと、 lim C(X,D-) = C(あ,い)×C(あ,う) が成立するということです。
これは、Xを「あ」以外にしても成立します。つまり、任意のXについてlim C(X,D-)は存在します。
今度は、lim Dを考えます。関手Dによる像は部分圏Dですが、これも先ほどと同じ理由で lim をとると い×う となります。しかし、HShiriにおいて積は存在しません。念のために言い直すと、lim Dは存在しない、ということになります。