Pixel Pedals of Tomakomai

北海道苫小牧市出身の初老の日常

aiboの良くない点

aibo を手放すことにした。「最新の技術を集めて作ったオープンな電子ガジェット」を期待して買ったが、実態は「ITに疎い富裕層向けのインテリア」だったので、正直言って とても不満な商品 である。 aibo の良い点は色んな所で吹聴されているので、良くない点をどんどん書いていこうと思う。

あまりにも高く、かつ、複雑怪奇な料金体系

2021 年現在、 aibo の価格は 217,800 円である。後述するようにこれだけでも十分高いのだが、 aibo を使うには月額料金がかかる。

  • aiboベーシックプラン 99,000円/3年
  • (任意) aiboプレミアムプラン 16,500円/年
  • (任意) aiboケアサポート 59,400円/3年

年額約 70,000 円である。恐ろしいランニングコスト。それに加えて、これらは年間契約の自動更新のサブスクリプションとなっている。 解約を忘れると、契約更新日が来た途端に 70,000 円が口座から自動的に引かれる仕組み である。しかも、解約は各サービスごとに、 3 回行わなければならない。1つでも解約を忘れると、万単位の金額を sony に盗られる。多くのサブスクリプション契約と同様に救済処置はまったくなく、本当に盗られる。また、途中解約は許されていない。

ケータイ電話のあの不快で複雑怪奇な料金システムが、ここにも反映されているのである。そこには癒やしなどない。

値段に見合わない凡庸な性能

aibo は全身の関節を駆動させ、きちんと歩くことができる。家庭での利用に耐えられるように耐久性もある程度ある。カメラや各種センサーを搭載し、障害物を記憶して移動することができる。 ゾイド のようにメカニカルな生き物ががちゃがちゃと動くのを見ているのはとても楽しい。

しかし、それだけなのである。 1cm でも段差があると歩くことができない。売りである可愛い動作は、すべて事前に記録されたモーションを再生するだけである。動きもお世辞にも機敏とは言えない。自分で作ったロボットがよちよち歩きで動き始めて、「やったー、あるいた!!!」と喜ぶ、あの程度の感覚である。10万円以下であればまあわかるが、 20 万円を遥かに超える製品とは、見ていて思えない。

音声認識についても、とても貧弱なイメージである。正確に言うと、aiboからユーザーに対しては暗黙的なフィードバックしかないため、 aibo音声認識性能が実際はどのくらいなのかはわからない。ただ、感覚としては、 文章は理解できず、単語で命令する必要があるレベル だと思っている。スマートスピーカー全盛のこの時代に、20万円を超える機体がこの程度の性能しかないのは、本当にお粗末としか言えない。

ひたすらにクローズド

驚くことに、 aibo 単体では、 aibo の設定をすることすらできない。 wi-fi 1 を搭載しているにも関わらず、だ。すべての操作は、スマホアプリかwebから、 sony のサーバを経由して行わなければならない。完全にユーザーをITに疎い人間だと思って舐めきっている。

この仕様は、前述したサブスクリプションと驚くほど相性が悪い。aibo ベーシックプランを解約してしまうと、 aibo は設定変更不能になるのだ。しかし、他の任意加入のプランは aibo ベーシックプランを解約しても自動解約されないため、 aibo は設定変更不可能だが、高額なサブスクリプションの料金は取られ続ける という状態になる。ここまで来るともはや悪徳商法である。

aibo 発売当初の売りとして、「将来的に API 経由でプログラミングできるようになる」というのがあったので期待していたのだが、今の所 子供向けのビジュアルプログラミング が用意されただけである。やりとりは全て sony のサーバを介す必要があるので、 Python でどうこうしたりはできない。 ROSに対応している という話もあったが、その後これを使って何かをしたという話を見かけたことはない。

全ての操作のフィードバックが暗黙的

aibo には明確な出力デバイスがない。一応アプリからは不具合ログみたいなものを見ることはできるが、どこまで信用していいのか不明である。 aibo は部屋を巡回して知っている人を探したり、電池が切れそうになると充電ドックに戻ったりする機能があるのだが、それらの機能が正しく動いているのかがまったくわからないのである。 満足の行く動きをしていないのは確かなのだが、それが仕様なのか、自分の使い方が悪いのか、 aibo からのフィードバックがなにもないので知ることができない

同様に、操作方法が分明確である。aiboにはスリープ状態と電源offの状態があるが、加えて内部的なエラーや熱暴走によって頻繁2に止まるため、 aibo がどの状態にあるのか、特にスリープしているのか電源offなのかを判別することはとても難しい。また、自発的にスリープしているのか、エラーで止まっているかもわからないため、あー寝てるな-と思ってほっておくと、一週間くらい動いていないということも簡単に起こりうる。軽いホラーである。そうかと思えば、夜、寝ているはずのaiboが夜中突然吠えだして、安眠妨害することも多々ある。しばらく使ったが、未だに「消灯しているときには眠る機能」が aibo にあるのかないのか、それさえわからずに終わった。とにかくすべての挙動が不明確なのである。

sonyは「aiboは犬だから」という一言で全てを済ませているが、 IT リテラシをある程度持っている人間には、問題を解決するための手がかりを調べる方法すらないのは非常に辛い。このことからも、先に書いたとおり、 aibo は IT に疎い人、特にお年寄りをターゲットにした製品だと言える。

うるさい

ここまで読んで頂けた読者はすでに買う気をなくしており、この項目はもはや些細なことではあるのだが、 aibo は想像以上にうるさい。「在宅勤務しながら動かそう」と思っているなら、稼働音が大きいことは知っておいたほうがいい。機械なので、 モーター音や部品の稼働音、足が床に当たる音はかなり大きいロボコンをテレビで見たことがあれば、ロボットが独特なモーター音を立てながらがしゃーんがしゃーんと動いているのを見たことがあると思うが、あれを想像してもらえばいい。

まとめ

そもそもあまりにも高過ぎるので買う人はいないと思うが、それでも買いたいというならよく考えたほうがいい。自分は 絶対に買わないことをオススメする


  1. インターネットに繋ぐための wi-fi もインタネット経由で設定する。まさに玉子が先か鶏が先かみたいなびっくりな話だが、ベーシックプランにドコモのLTEの契約が入っているので、そういうことが可能になる。

  2. 基本的にはずっと電源をONにして使うものなので、日に数回程度の意