Pixel Pedals of Tomakomai

北海道苫小牧市出身の初老の日常

土山峠とヤビツ峠と風張峠

今年、人生初ヒルクライムとして3つの峠を登ってきた。

そもそも、 自転車を買った 時は、普通の坂道ですら自転車で登るものではないと思っていた。しかし、毎日自転車に乗って色々なところを走っていると、思っていたより坂道も自転車で登れることがわかってきた。自転車に毎日乗るのはダイエットが目的だったので、距離も重要ではあるが、走っている間は体にある程度の負荷はかける必要が出てくる。その観点では、下り坂は実は良いことがない。運動にはならないし、かと言って負荷をかけるためにスピードを出してしまうと、重大事故の危険性が大きく増す。適度な登り坂や向かい風のほうが、速度を出さずに運動負荷を高めることができるのである。

そんな折、 10 月に一緒に走っていたサークルの方が、宮ヶ瀬湖へ行くと言い出した。「湖が見られるのは楽しそうだな」と気軽な気持ちで参加したのだが、実は宮ヶ瀬湖に行くには土山峠という小さな峠を登る必要があった。はからずも、これが人生初のヒルクライムとなったのだ。

初めて本格的な山道を登ってみて、想像以上に登れるもんだなあという感想を抱いた。と言うより、自分が思い描いていたヒルクライムよりも、遥かに遅いスピードで登っても良いということに気がついたのだ。このときの車体は P Line 仕様の CHPT3 v4 だったので 4 速しかなく、軽い側のギアが少なくてとても峠を登れるとは思えなかった。しかし、土山峠に登ったことにより、重めのギアでもゆっくり回して登ることはできるということを学んだのである。

そして 12 月、今度はヤビツ峠に行くことになった。もう登れるという自信はついていたので、心配よりも腕試しができるワクワクのほうが勝っていた。たまたま他のブロンプトンの集団も登っていたお陰で、ペース配分は彼らに頼ることができた。結果として、「え、もう終わり?」と思う程度の余力は残して、頂上まで到達することができた。

道中、眼科に広がる風景はとても開けていて、ヒルクライムの醍醐味を存分に味わうことができた。特に下りの菜の花台から見た富士山は見事だった。

ヤビツが登れるなら、他の峠も行けるだろう。このまま、ヤビツの練習にしようとしていた都民の森にでも行ってみようか。そう考えて、最後はソロで東京都檜原都民の森に挑んだ。帰省のため数日間自転車に乗っていなかったことと、この日はたまたま時間があったことから、 50 Km 自走して武蔵五日市駅へ向かい、そこから登ることにした。

都民の森がきついのか、それとも、 50 Km の自走が効いていたのか、都民の森までのヒルクライムは非常に大変だった。評判には聞いていたが、後半に行けば行くほど斜度がきつくなり、太ももの筋肉の疲労を感じた。とは言え、動画などでよく心を折られるポイントとして取り上げられる九十九折の部分は落ち着いて登ることができ、眼下の遥か下方に道路が見えたときには思ったよりすごい勢いで登っているんだなあと驚いた。結局、橘橋交差点からは足を着くこともなくこともなく淡々と都民の森まで登れたが、都民の森はなんと休業で、駐車場も含めてすべて閉鎖されていた。

さて、 google で都民の森のヒルクライムを調べると、大抵は都民の森をゴールとしているのだが、実は峠道はもう少し上まで続いている。「なんで上まで登りきらないのだろう?」と思い、さらに 200m ほど登って風張峠の最高点を目指した。ここまで登ってきたことを考えれば、最高点までの道のりはなんてことはなく、あっさりと到着した。この地点は、東京都の道路の中でも一番高いところらしい。

今日のヒルクライムはこれで終わりである。しかし、せっかく峠を登ったのだから、そのまま同じ道を戻るのも面白くない。軽く google map で検索したところ、風張峠を下ると奥多摩駅に抜けられるようなので、こちらを目指してみることにした。が、数十分後にはこの選択を後悔することになる。

風張峠のダウンヒル自体は、平日で車が少なめだったこともあり、スピードさえ押さえればそれほど嫌なものではなかった。問題はその後に google map が示してきた道。 google map には 五霞町 でも非常に苦しめられたのだが、今回はそれ以上のものだった。最初に困ったのは 麦山の浮橋 を渡るというところ。まず、そもそも google が指し示した道がない。おかしいと思い、人っ子一人いない峠道を戻ってみると、まるで獣道のような階段が湖面に向かって続いているのを見つけた。このまま自転車を担いで真冬の森に入れだと・・・? しかも、先のリンクに示した通り、この道は今年の 3 月から通行止めになっている。まもなく日も暮れようとしているのに、回り道をしなければならないのは不安しかない。

幸い、遠回りは数十分ほどで済み、無事に奥多摩湖の湖畔に出た。湖畔の道は道幅が狭く、トンネルも多く少し心配はあったが、ここも交通量は少なかったので 1 、ああ、良かった、無事に駅に着ける、と安堵した。しかし、その安堵もつかの間。またもや google map がとんでもない方向を指し示す。メイン通りを外れて、まるで廃道のような湖畔へ下る道を行けというのだ。ここでは、どうするか本当に迷った。確かに、この先のトンネルは長そうで、このまま進むのも得策ではないように思えた。かと言って、廃道の方もとても真っ当な道とは思えず、ここで行き止まりにあってしまうと、完全に日没を迎えてしまう。

後でわかったのだが、この廃道のような道は 奥多摩むかしみち という旧青梅街道で、観光マップにも紹介されているきちんとした道だった。が、そんなことはつゆ知らず。進めば進むほど道はガタガタになっていくし、途中で舗装されていないダートに出た時はリタイア 2 も覚悟した。一応、民家があったり住民の方を 1 人だけ見かけたりはしたので、大丈夫だと信じて進んだ。結果、無事に奥多摩駅に到着したのである。今後、一人ではもうこの道は通らないだろう。この日の走行距離は 115Km で、距離でも自己記録を更新した。

ということで、体力的には、ある程度の山道も超えられるという自信は着いた。ただ、それでも一人で誰もいない山道に入ってしまうと、だいぶ心細くなる。事前のルートの予習を徹底するなど、もう少し不安なくツーリングを楽しめるようにしたいものである。


  1. 後から調べたところ、ここは走り屋のメッカで、休日に自転車で通ると非常に怖い思いをするらしい。
  2. リタイアと行っても、こんなところでタクシーを呼んでも来る気がしないのだが。